こんにちは。施設長の兼岩です。
ナーシングホームアイプラスは、主に医療的なケアが必要な方をお受入れしている施設です。
特に、末期がんやパーキンソン病等の神経難病、寝たきりになって口から食事が摂れなくなった方を最期の時までケアしています。
「死」を受け入れることは、とても難しいことです。
例えば、がんの宣告をされた時、人は「なぜ自分が、こんな目に合うんだ?」とショックを受け、否定し、嘆き悲しみ、落ち込み、そして怒りを感じます。
怒りとは、「悲しい」「怖い」「不安だ」といった感情を隠すための二次感情と言われており、その怒りをご家族様や職員へぶつけることもあります。
また、その怒りさえも「否認」(心理的防衛機制の一つ)して、「死」への恐怖と向き合わないようにする場合もあります。
そりゃあそうですよね。怖いですよね。「死」について考えるのは。
そしてまた人は、「こんな目に合うのは、自分が悪い人間だからだ。家族に優しくしてやれなかったからだ」などと、自分への罰のように感じてしまうことも少なくないのです。
こんな風に、「死」に至る心理とは複雑で、周囲の人たちも、どう接してよいか戸惑いを覚えることでしょう。
大切なのは、「死」という絶望の中でも、いかにして希望を持ってもらえるか、安心してもらえるか、です。
そんな一見、不可能に思えることを可能にする方法として、「傾聴」があります。
死を前にした方の話を聴くことは、「なんと声をかければよいのだろう?」と緊張するものです。ですが、たかが話を聴くことと侮ることなかれ。
声をかけたり何かアドバイスするのではなく、聴くことで、本人が考えを整理し、怒りの下にある感情に気づき、それを吐露することで、「死」を受け入れていくと言われています。
必ず訪れる「死」を受け入れる。そのために私達職員は今日もベッドサイドで寄り添います。
「死」を受け入れ、「よい人生だった」そう思って頂けるように、今日も傾聴します。
それにより、私達職員も、救われるのです。「私たちのケアに満足して頂けた」と。